安い買い物ではなかったけれど,自分の好きなものを買うことは心が満たされる。
車もそうだが,洋服や食べ物においてもそうだろう。
それぞれ価値観が違い,車にお金を使う人もいれば,洋服,食べ物に使う人もいる。
もしくは,貯めるだけの人もいる。
お金の使い道は違えど,心をすり減らしながら稼いだお金は,心の安定や豊かさに使われるべきだと感じた。
新車を購入してからの僕は,金融機関へのローンレンジャーではなく,長谷川へのローンレンジャーとなった。
金利はないが,違う形で金利を払うことになるだろう。
ちょうどこの頃,僕が住んでいる離れのリフォームもし始めた。10月半ばからのリフォームは11月半ばくらいに終わった。800万。
はっきり言って,1階部分の3分の2程度をしただけなのに,こんなにとられるものなのだろうか。
父が大手リフォーム会社との打ち合わせをしてきたのだが,確か材料費は300万程度だったような気がするのだが,500万も何に上乗せされているのだろうか。
建築業界は門外漢なので,全然分からない。なんとなくぼったくられた気分だ。
と言っても,自分は100万しか払わなくてよかったのだから,あーだこーだ言える立場ではない。
この年は車に120万,リフォームに100万とよくお金が出ていく年だ。
さらに,長谷川さんと冬に向けてダウンを買った。その時の話をしよう。
僕は大学生の頃から友人に教えてもらった店で服を買っていた。それなりに綺麗めに見えるような服を好んで着ていた。
田舎で車社会なため,外を何十分も歩くことはない。そのため,セーターも持っていないし,アウターも薄いものしか持っていなかった。雪深い地域に住んでいるくせにw
「先生,ようそんな寒い格好できるわ。ダウン買いねって。あとセーターも。」
実は,長谷川さんと出会ってから,ファッションコーディネーターは長谷川さんに代わっていた。
夏場も今までは履かないような明るい色のハーフパンツを履くようになり,ポロシャツもラルフローレンのものになっていた。
この冬のアイテムは,ダウン。ダウンを買いねと言われて店を訪れると,ダウンのなんと高いこと。
「こんなん買ったら財布が寒くなるやん」て話していると,
「一回着てみてねって。」と進める長谷川さん。
コーディネーターに言われるまま試着をしてみる。
軽さと暖かさに衝撃を受けた。
ダウンの下はTシャツでいいくらい暖かい。
「あんな安い重いのなんか着てられんやろ,しかも寒いし。」
僕にとっては新しい発見だった。
ブランド差で価格が違うのも多少はあるかもしれないが,明らかに品質が違うのだ。
どうも安価なものと高価なものではダウンの中身が違うらしい。綿かダウン(水鳥の羽毛)か。
しかおダック(アヒル)よりもグース(ガチョウ)の方が良質で価格が高いらしい。
まぁダウン談義はいいとして,その場で買わずに少し勉強してから買うことにした。
調べて見ると,有名どころとしては,モンクレール,ドゥベティカ,カナダグース,ノースフェイスなどなど。
にしても,どれも高い。
そこで長谷川さんのトドメ「いいの買っておきね。ずっと着れるで。毎年変えるわけじゃないんやし。」
簡単に納得する。
結局デュベティカの6万ほどするものに決めた。
さて,次は長谷川さんのだ。長谷川さんは,三度の飯より洋服好き。
そんな長谷川さんにはお好みがブランドがある,その名はFOXY。
月9「やまとなでしこ」で松嶋奈々子が来ていたブランドらしい。
だが,その店は名古屋や大阪など都市部にしかないため,名古屋いこうとよく言われるようになった。
ただちょうどその時,隣の県にブースを出すという知らせを受け,その展示会に行くことになった。
長谷川さんの後ろについて,ヒョコヒョコと展示会場に入った。そんなに大きな会場ではなく,ホテルの宴会場ぐらいの大きさ。ところ狭しと洋服がかけられている。
「これあったかーい,可愛いし」と言って手に取っていたのは,フードのついた見た目も暖かそうなアウター。僕には丈の短い,モコモコしたパーカー?のような商品。
長谷川さんは即決型なので,他の商品もちらちら見たかと思うと,これにしようかなと2つ見せてきた。
そして,お決まりの「どっちがいい?」
こういう時は何が正解なのか未だに分からない。
ただし,「どっちもいいね」と「どっちでもいいね」の差ぐらいは弁えている。
「どっちも似合うけど,何で迷ってる?」と言うようにしている。悩みポイントを絞った方が,コメントをしやすいからだ。
結局本人の答えは決まっているだろうから,それに寄り添う形で同意,後押しするのがこの場合の男の役目だと思う。知らんけど。
結局決めたのは,モコモコフード付きの方だ。いくらか聞いていなかったので,尋ねた。
「30万」
は?バカなの?と思った。
確かに暖かそうではあるし,実際暖かいらしいのだが,それにしても・・・
何も言うまい。
プラスしてブローチを買っていたが,それも値段も全然可愛くない。
年収が違うのもあるが,やはり価値観の違いなのだなと思った。僕には,服1着それも冬限定のものに月給はかけられない。
長谷川さんの心の豊かさに繋がるのは洋服なのだ。
そのために彼女は働いている。
さて,自分の心の豊かさに繋がるものって何だろう。
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