教師と保護者の恋愛小説「わかっているけど」(26)

小説

初めてのケンカ1

2018年2月。朝起きたら車が出せないほどの雪が積もっていた。

ん?まずいぞ。と思っていたところに、同僚からのLINE。「車でますか?」

「いや、出せん。」

そうこうしているうちに学校から休校にする旨のメールが入った。

よかった。

しかし、休校といえど勤務には変わりない。さて、いつ頃行けるだろうか。

SUVにする理由は、乗りやすさと地域柄雪への対策も兼ねていた。

新雪ならある程度雪かきをすればなんとか出せるはず。そう思って50mほど雪かきをして車を出してみた。

いける。

変に真面目な僕は、なんとしてでも学校に行かなければならないと思っていた。無理しなくてもいいのに。

とりあえず、車は出た。

しかし、学校までの道のりは過酷だった。今まで通っていた道がこんなにもオフロードになったことはない。

至る所で車がスタックしている。除雪が追いついていない。

なんとか学校についたが、2時間かかった。

学校に着くと人が少なく、「よく来れたね、来なくてもよかったのに。」と言われた。

勝手に自己満足していた。よく来た、俺。

朝出るのに2時間の雪かき。学校に来て2時間の雪かき。

そして帰るのだが、帰りも帰りで2時間半かかった。

この日からずっと降り続いた雪は、「記録的な大雪」として名を残したのだ。

長谷川さんはというと、雪が大っ嫌い。「雪かきしたことない」とかぬかす始末。

おいおい、雪国にいながら雪かきしたことないってどういうお嬢様だよ。

「雪かきしに来て。車出せん。もういやや。」

みんなが大変な時に、雪かきしに来てとは。

わかってはいるけど、たどり着けない。大雪初日は、とりあえず自分やら家のことで精一杯で状況報告をしあうだけだった。

この年は記録的な大雪となった。見たことのない高さの雪。学校も1週間ほど休校になるほどだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました