教師と保護者の恋愛小説「わかっているけど」(27)

小説

初めてのケンカ2

大雪で1週間ほどだろうか、休校になった。学校は子供の安全を第一に考える。そのため、通学が困難な場合は、時間をずらしたり、臨時休校にすることがある。

ただ今回の大雪は、安全面というよりかは通学・通勤不可能な側面が大きかった。

1週間ほどだろうか、休校になった。思わぬ休みに子供は嬉しいかもしれないが、大人にとってはそうでもない。

掻いても掻いても無くならない雪。家と職場の雪かきで疲労困憊の腕と腰。

そんな時に、同僚が気を利かせて、1人ぐらしをしている後輩同僚の雪かきに行こうと誘ってきた。

車が埋もれているというのだ。

安請け合いしたことを後に後悔した。

長谷川さんにも雪かきを要請されていたのだ。

とりあえず、昼過ぎぐらいに同僚のアパート前に着いた。アパートの前では住人たちが自分の車の周りをせっせと雪かきをしていた。

近くには大きな雪山。どこも除雪車待ち。住民も困っていたが、除雪する側も大変だったとニュースでやっていた。

車で出勤してはスタックするため、邪魔で思うように捗らなかったそうだ。

それはいいとして、2時間ぐらいかけて同僚の車が出るまでにはなった。その時点で16時。

「行く行く」と言っておきながら、こんな時間になってしまった。

長谷川さんちに着いたら、膨れ面が待っていた。「遅いんやけど」

不機嫌さを隠さない。面倒なので、もくもくと雪かきをする。

遅くなったのは申し訳ないが、そんなに怒りをぶつけられても困る。

こっちは、家、学校でもしんどいのにプラスαで来ているのだ。

雪が嫌いか知らないが、「雪かきできんのやもん」という言い分が理解できない。できるできないの問題ではなく、やるかやらないかだ。

「なんであいつ(同僚)の所行くわけ。自分で雪かきもやらんと先生に任せて。やらんでいいんやって。」

「いいやん、困ってるんやで。手伝うくらい。てか、家もせなあかんのやし、学校でもして来てるんやけど。」

「自分のとこは自分でしてや。」

自分のところというのは、長谷川さんの契約には駐車場2台分が付いて、片方を長谷川さんが、片方を僕が使っていた。その僕のスペースを指している。

ちゃんと僕のスペースだけ手付かずで雪が残されている。

それにも腹が立った。女2人家にいながら、車二台分のスペースぐらいできないものか。

移動だけでも大変な時だ。「先生のところもしといたよ」を期待する方がおかしいのだろうか。

そんなことを考えながら辺りを見回す。アパートの雪かきで困るのは、雪の置き場がないことだ。ただでさえ狭い駐車場に雪の置き場がなく、側面に高い壁ができてる。

その壁の上に雪を乗せていかなければならない。すくった雪をさらに上に放り投げる必要があった。

ため息が出るが、無言でせっせとやる。

ある程度終わったところで、「もういいやろ。」と言って帰ることにした。

「うん。」

「ほな。」スタスタと車に乗り込み、発信させた。

知り合って2年、初めて険悪なムードになった。

大雪がもたらした思わぬ副産物。

雪解けはいつになるのだろうか。

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