教師と保護者の恋愛小説「わかっているけど」(35)

小説

レディースクリニックに行ってから1週間後だろうか、僕は仕事だったため、長谷川さんが結果をもらいに行った。

朝の電話でもらいに行くと言っていたため、その日は少しドキドキしていた。

帰りの電話で結果を報告された。

結果は精子に異常は見られず、むしろ優秀だと言われたようだ。

なんか、嬉しい。

先天的なものを誉められた気分。

でかした、息子よ。

いや息子ではないか。息子から出るから孫?でもないか。

何にせよ、一安心した。

長谷川さんの方も異常はないようだったが、ホルモン注射的なものを打ったらしく痛かったと言っていた。

お医者さん曰く、どちらにも問題がないにも関わらず、できない患者さんが多いらしい。

それを聞くとやはり何か「授かりもの」と言われる理由に少し納得する。

タイミングとか運とかもあるのだろう。

そう思っていると、長谷川さんが「薬もらってきたよ。」と言ってきた。

「どうしたん?何の?」と聞くと、まさかの答えが返ってきた。

「クラミジア」

え?w

「あんた変なとこ行ってないやろね」

「行ってない行ってないw」

嘘ではない。かつては友人と嬉しそうに行っていた時期はあったが、長谷川さんとお付き合いするようになってトンと行かなくなっていた。いや、行けなくなっていたという方が正しいかもしれない。

長谷川さんはいちいち安否確認をしてくるため、下手なとこには行けないのだ。

そして嘘がヘタクソな僕は、それを恐れて学校と自宅の往復生活を余儀なくされていた。

そういう側面もあるが、金銭的にももつけなく思うようになっていた。なぜ昔はあんなにも行けていたのだろうか。嬉々として行っていた。

余談だが、風俗に行く楽しみは性欲を満たす部分もあるが、友人との反省会が面白いのだ。

風俗サイトを見ては予想、仮説、実践、成果と課題、そして考察。それはまるで1つの研究のようだ。

そうだ、僕らは研究報告会をしていたのだ。だてに国立大学を出ていない僕達だ。

友人の1人には今もなお研究を続けている猛者もいる。

それにしてもクラミジアとは。自分に全然自覚症状はない。そして風俗にも行っていないのだから心当たりもない。

「え、長谷川さん?」

「私ちゃうわ!w 先生やろ?」

「いや、俺も心当たりが全然ないよ。」

「でも先生(医者)言うてたわ。オーラルセックスでもなるんやって。」

「そうなん?」

「うん、バイキンが入るんか知らんけど。」

「そうなんや。なんかショックやわ。」

「私もやわ!」

ということで仲良く性病になったらしい僕達は薬を飲むことになった。

特に痛みも痒みもないのに、自覚症状のある病気よりもなんか嫌だ。

毎日欠かさず薬を飲み、それ以降オーラルセックスもやめた。風俗もなおさら怖くなった。

角都のままでよかったのに、僕は初代火影になってしまったのだ。

考察:アブノーマルは危ノーマルと言えるだろう。

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