教師と保護者の恋愛小説「わかっているけど」(37)

小説

淡路島旅行1

長谷川さんは最初の結婚で数年間淡路島で生活していたことがあった。

そのため、これまでの付き合いで淡路島の話題は何度か出ていた。

長谷川さんの家でご飯を食べる時には、淡路島のお米だったし、玉ねぎは淡路島産だった。お米に関しては、淡路産も悪くはないが、やはり僕はコシヒカリが好きだと思った。玉ねぎに関しては、さすが淡路産甘くて美味しい。

また、特に雪が大嫌いな長谷川さんは、雪を見るたびに「淡路がいい」「雪なんて積もらん」と嘆いていた。

そして、日本海を見るたびに「淡路の海がいい」「キラキラしてる」と言っていた。

かねてから一緒に淡路島に行きたいと言っていたため、夏休みに淡路島に行くことにした。

淡路島までの道のりは流石に遠かったが、兵庫県からの明石海峡大橋は走っていてとても気持ちよかった。

最初は、名前は忘れたがショッピングモールである人と会うことになっていた。今回の淡路島旅行の案内役だ。

その人は、長谷川さんが淡路島で働いているときの同僚で今でも長電話するほど仲がいい。年は長谷川さんの10こほど上だから60手前になるのだが、若い彼氏とお盛んらしい。「今でも潮をふくんやって」と前に長谷川さんが教えてくれたが、全くいらない情報だった。

仮にIさんとしておこう。長谷川さんも僕のことをIさんによく話していた。

「先生のちんちんきれいなんやって。国後島みたいなの。」と電話で言っているのを聞いたことがあった。

僕は、「国後島?w なんで国後島なん?見た事あるんけ?」と聞いてみた。

「え、国後島ってシュッとしてるがwww 私黒い薩摩半島みたいなの嫌なんやってwww」

アホだ。どういう育ちをしたら、ちんちんを島に例える発想になるのだろうか。下衆い会話だ。

そういう会話をしてるくらいだから、値踏みされるような心配は特別していなかった。

Iさんとの初対面。印象は小綺麗にしているオバさまといった感じ。確かに年齢よりは若くは見えるかもと思っていると「いや先生、シュッとしてなはるな。遠くからすぐあれ先生や思たわ。いや何、やよいちゃん大きなったな〜、あんたより先生とやよいちゃんの方が親子みたいやでwww」

さすが関西人。ファーストコンタクトで既に面白い。

「ほなそろそろ行こか。すぐ近くやで。」

最初の目当ては、海沿いのパスタ屋。朝の番組で取り上げられたお店らしく、自分でパスタの種類を選んで注文する本格的なパスタ屋さんだ。開店とほぼ同時に行ったが既に列を作っていた。オシャレな空間で味も申し分なかった。

次に向かったのが、イルカと泳ぐことができる「ドルフィンファーム」なるところだ。

Kさんの車について行く形となったのだが、僕は運転手として目安となる距離か時間が知りたかった。土地勘がない僕は長谷川さんにどれくらいで着くかを聞いてみた。

「あ、O町からS市ぐらい。」

地元の地名で例えてくれた。10分〜15分あれば着く距離だ。

「あ、近いんやね。」

「そうそう。」

走行中

「ねぇ・・・これのどこがO町からS市なん。 もう1時間走ってるやけど。距離感バカなの?」

長谷川さんはケラケラ笑っている。

彼女は騙したつもりも冗談のつもりでもなく、ガチなため自分でも笑うしかないのだ。

いわゆる方向音痴というやつなのだろうか。地理感が全くないのだ。多分どの方向に向かって走っているのかも分かっていない。

そんな地理感でようあこ行きたいここ行きたいと言うものだ。

結局ドルフィンファームでは、イルカの生態について学び、やよいちゃんはイルカにつかまって泳いでいた。ぜひ関西圏の人にはおすすめしたいスポットだ。

そうこうしているうちにいい時間になって来たので、僕らは旅館に向かうことにした。

旅館にはIさんは来ないため、ここで別れることとなった。

車に乗り込むと、「信じれるのはナビだけやw」と呟いて、宿泊先の旅館を入力した。

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